数十年前、レインフォレスト・アライアンスとUTZは、持続可能性に投資している生産者と森林コミュニティ、責任ある調達に熱心に取り組む企業、そしてより良い選択を求める消費者を繋ぐというシンプルでありながら力強いアイディアを通じた世界の変化に乗り出しました。現在では、ひとつの合併した組織として、長年の経験に基づいて、数百万人の生産者や労働者、数千社の企業、世界130カ国以上の消費者に届く、統合された農業認証プログラムを構築しています。
私たちが活動する部門と景観(ランドスケープ)は、私たちが取り組みを始めた時から劇的に変化しました。現場から役員室に至る場所で行ってきた数十年にわたるパートナーとの活動や彼らからの学びを踏まえて、私たちの世界が今直面している喫緊の環境・社会課題に効果的に対処するため、私たちは認証の再構築を行わなければならないと確信しています。では、「認証の再構築」とは何を意味するのでしょうか?
認証の再構築:私たちの戦略の中心
認証の再構築は、認証の未来に向けた私たちの長期的ビジョンです。これは、レインフォレスト・アライアンスが、4つの主要な活動分野に変化をもたらすためのより広い戦略の一部です。これらの取り組みは、私たちが業務を行っている分野に持続可能性をもたらすために、全てが相互に関連し、協力しています。
私たちの活動を次のレベルに
認証は非常に大きな影響力を持ってきました。しかし、人びとと自然により大きなインパクトをもたらし、生産者と企業にさらなる価値を提供するために、認証は進化し続けなければなりません。2018年のレインフォレスト・アライアンスとUTZの合併は、私たちが一歩下がって認証の未来を見つめるのに自然なタイミングでした。私たちは、他の多くの組織が持っていない「規模」を持っているため、ユニークな立ち位置にいます。この規模には、さらに大きな影響力を創り出す膨大な機会と責任の両方が伴います。認証の再構築により、広範囲に及ぶ私たちの認証の歴史、現場経験、多様な分野の知識、革新の能力、そして私たちの活動を次の段階に引き上げる規模を束ね合わせることができるのです。
認証の再構築とはどのようなものでしょうか
認証の未来に向けた私たちのビジョンには、いくつかの主要な根本原則があります。
合/否の二進法から継続的改善へ
私たちは、認証を要件に対する合/否の連続とする考え方から離れつつあります。その代わり、一連の必須項目からの変化をもたらす継続的改善というアプローチを採用します。このシステムは、関連性のある改善に向けて取り組む生産者を支援するものです。また、最前線で改善を継続し、高いレベルの実績を挙げ、革新を行う人びとを評価していきます。
これは実際には何を意味しているのでしょうか?第一に、全ての労働者に最低賃金が支払われることを意味しています。しかし生活賃金の推進に向けた改善は続けていきます。また、まずは森林破壊の停止するために活動し、さらには森林再生や再生型農業に向かうことを意味しています。
データの不足からデータによる強化へ

持続可能性の問題に取り組むために、私たちは信頼できる動的な情報を頼りにしています。新しい認証システムは、もっと技術とデータに裏付けされたものになり、収集データが質の高い、サプライチェーンの知見を得るために使えるものであることを確実にします。
生産者にとっては、彼らのビジネスを向上させるのに役立つ情報とツールへのアクセスを得ることを意味します。監査員がデジタル記録にアクセスして地理空間技術を使えるようになれば、監査はもっと効果的で効率的になります。企業は持続可能性に関する実績やサプライチェーンにおけるリスクに関する貴重な情報にアクセスすることができるようになり、投資の対象を絞り、彼らの影響力についてより明確な広報を行う際に役立ちます。
従来の保証からリスクに基づくデータ駆動型保証へ
基準の要件が満たされていることを確認するために使用するツールと過程を革新しなければなりません。従来の保証モデルでは、監査員は農園を訪れ、書類を確認し、面談を実施し、彼ら自身の目で見たものを評価しています。農業システムがとても複雑であることが問題であり、異なる課題には異なるレベルのリスクがあることを私たちは知っています。加えて、ひとつの農園を一年365日、一日24時間ずっと監視できるシステムが無いことも知っています。
だからこそ、私たちは監査員にさらにリスクの高い分野に注目する能力を与えたいのです。監査員は、ただ単に彼らが監査日に見たものをチェックするのではなく、年間を通じた持続可能な実践を支えるシステムが設けられていることを確認するようになります。また、彼らは1回の訪問では容易に発見することのできなかったデータを捉えた衛星画像など、新しい技術も使うようになります。これは、監査の監視と監査員のトレーニングに対する投資の増加に加えて実施されるものです。これらの変化が合わさることで、監査および保証プロセスが今よりずっと効果的になり、より強力でさらに厳格な評価に繋がります。
汎用型モデルから、状況適応型へ

もうひとつ、私たちが遠ざけたいものは、何にでも使える汎用型モデルです。生産国や部門には多くの異なる現実があり、私たちはこうした状況に適応するのに十分な柔軟性を持った基準と保証システムを提供したいのです。
あるレベルにおいては、小規模なカカオ生産者か大きなバナナ農園の所有者かに関わらず、各生産者の様々な問題を考慮した基準を提供することを意味します。しかし私たちはさらに先に進み、問題となっている課題が本当に解決に向けて取り組まれていることを確実にしたいのです。
このような行動の一例は、児童労働や強制労働のような慣行に対するものです。これらの慣行が発生する中等度または高度のリスクがある場所では、私たちの基準は生産者にそれらを評価し、取り組むためのしっかりとしたシステムを設けることを求めています。これは、監査が実施される場所における最も喫緊の課題を生産者がさらに注力できるよう、リスクのマップを使った監査員と手を取り合って進められるものです。
生産者だけへの負担から、サプライチェーン全体の連帯責任へ
最後に、しかし大切なことですが、新しい認証システムはサプライチェーン全体を通じた連帯責任というより広い考え方を推進します。私たちが認証の中心に生産者を置くことは良いとしても、彼らが利用できる適切な資源が無ければ彼らの肩に認証の不均衡な負担がかかってしまいます。
新しい認証システムで、私たちはこれを変えたいのです。私たちは企業に持続可能性の価値を認め、より持続可能な生産にもっと投資し、報酬を与えるよう、また生産地での持続可能性を前進させるために必要な投資を共有するよう働きかけています。より持続可能な製品は、より良い価格で売られる価値のある、より良い製品だからです。
2020認証プログラムは、これらのゴールにどのように当てはまりますか?
現在開発中のレインフォレスト・アライアンス2020認証プログラムは、認証の未来に向けた私たちの長期的ビジョンへの道のりの第一歩です。これには、一連の新しい農業のための基準(持続可能な農業のための基準)、企業のための基準(加工・流通過程の管理基準)が含まれ、これらの新しいアプローチに合った保証システムや付随するプラットフォームを伴います。2020認証プログラムは2020年6月に発表され、2021年半ばから監査が始まります。