この度、レインフォレスト・アライアンスは再生農業基準を発表しました。これは、農業の未来の再構築を後押しする、画期的な認証制度です。 この基準は、世界の農業が極めて重要な局面を迎える中で発表されました。気候変動の影響は深刻化を続け、天然資源は逼迫し、土壌劣化・水資源の逼迫・生物多様性の喪失によってサプライチェーンは高まる不安定さに直面しています。
世界中の農家と企業はどちらも、より安全で公正なサプライチェーンを構築するための、実践的で拡張可能な解決策を求めています。その中で、最も有望な答えの一つとして浮上しているのが再生農業です。調査によれば、再生型の取り組みは土壌の健全性を高め、気候変動に対する回復力を強化し、さらには農業所得を最大で20〜30%押し上げる可能性すらあることが示されています。
レインフォレスト・アライアンスは、持続可能な農業分野で培った数十年の経験を礎とし、現場で実証された科学的根拠に基づく基準を提供できることを誇りに思います。この基準は、パートナーの皆様が再生農業に対する志を、現実の行動へと変えることを支援するために設計されています。
導入はすでにコーヒーから始まっており、2026年にはカカオ、柑橘類、紅茶、その他の作物へと拡大していく予定です。
この新たに策定した基準の背景にある道のり、それを形づくった長年の研究と共同作業について詳しくは、こちらをご覧ください。
再生農業の効果が検証されるまでのロードマップ
再生農業は、人によって意味が異なり、多様な定義や実践方法を見極めていくのは、混乱するだけであればまだしも、最悪の場合には苛立ちさえ引き起こします。ここで役立つのが、レインフォレスト・アライアンスの再生農業基準です。この包括的な一連の要件は、明快な原則、科学的根拠に基づく実践、そして農家や企業が再生農業の効果を挙げるまでの信頼できる道筋を提供します。
レインフォレスト・アライアンスの再生農業基準を際立たせる特長は何ですか。
- 信頼性が高く、測定可能で、審査が可能な要件
再生農業は、近年注目を集めていますが、その普及とともに、あいまいな、または裏付けのない主張も増えています。私たちの基準は、こうした課題に正面から取り組むものです。具体的には、固有の指標やデータポイント(例えば、土壌被覆率、アグロフォレストリーの評価指標、有用な微生物やミミズの存在など)を盛り込み、理論を超えて進捗や成果を具体的に測定できる方法を提供しています。信頼性は、年次審査や抜き打ち審査によって基準の要件を検証することで担保されます。長年の研究と試験的なプログラムを通じて開発されたこの枠組みにより、再生農業の取り組みが有意義で、かつ測定可能なものとなることが保証されます。
- 地域の実情に即した設計
再生農業は、画一的に適用できるものではありません。根本的な原則は同じでも、その適用方法や成功度は、作物や地域、気候によって異なります。私たちの基準は、これを作物ごとのモジュールと各地域に適応した手引きを通じて、実務に反映しています。
例えば、すべての農場は認証周期終了時までに土壌被覆率60%に達することが求められますが、その実施方法は異なります。コーヒー農場では、収穫時にコーヒーチェリー(コーヒーの実)収穫のため、地面が裸地になることが許されますが、茶農場では土壌侵食リスクがあるため初年度からより厳しい基準を満たす必要があります。マルチングなどの実践に関する手引きも、地域により異なります。コスタリカでは、傾斜地の小規模コーヒー農場が手作業でマルチングを行うのに対し、機械化が進んだブラジルの大規模コーヒー農場では機械によるマルチングや、被覆作物の利用が行われます。
- 信頼性の高い認証インフラによる支援
既に実績のある認証システムを備えているレインフォレスト・アライアンスは、この新しい再生農業基準を世界的に拡大することができる唯一無二の立場にあります。トレーナーや審査員のネットワークに加え、信頼性の高い保証・トレーサビリティシステム、実証済みの手法を通じて、導入初日から実践可能な確かな基盤を提供します。
再生農業認証は、どのように企業をサポートするのでしょう?
強靭なサプライチェーンの構築と、信頼性の高い再生型の成果提供に取り組む企業にとって、レインフォレスト・アライアンスの再生農業基準は、明確で長期的な価値を提供します。
- サプライチェーンを土台から強化
再生農業の実践は、土壌肥沃度の改善、生物多様性の向上、水分保持力の向上を通じ、農家における収量の向上やコスト削減につながります。これらはすべて、長期的な供給の安定性に直結するものです。レインフォレスト・アライアンスの再生農業基準は、農家がこれらの実践をより効果的に実行するために必要な手引きと支援を提供します。企業にとってこれは、気候ショックに強く、より強靭で高パフォーマンスなサプライチェーンに貢献できる態勢を整えているパートナーに投資することを意味します。
- 信頼性のあるデータに基づき、より強力な表示を可能に
気候変動や生物多様性、ESG目標における現実的な進展を示すよう求める圧力が高まる中、企業には単なるストーリーテリングを超えるツールが必要です。レインフォレスト・アライアンスの再生農業基準は、確かな報告データと透明性の高い消費者向けコミュニケーションにより、再生型調達目標の達成に向けた効果的な行動を可能にします。また、パートナーや消費者に対して明確で信頼性の高いメッセージを発信することで、正当な理由により貴社のブランドを際立たせます。
- 確かな効果を示す信頼のマークで、高まる消費者の期待に応える
今日の消費者は、より高い透明性と説明責任を求めています。そこには正当な理由があります。過密化し、しばしば混乱を来すような持続可能性分野において、レインフォレスト・アライアンスの緑のカエルマークはすでに誠実さの象徴として認知されています。このレガシーを受け継ぎつつ進化させたものが新たな再生農業マークであり、現場で実際に挙がった成果を示すマークによって、企業が自社製品を差別化することを可能にします。
再生農業基準と持続可能な農業基準の関係性
再生農業基準は新たに策定されたものですが、再生農業の実践自体はレインフォレスト・アライアンスにとって新しいものではありません。我々が策定した持続可能な農業基準は、過去数十年にわたり、社会・環境・経済という持続可能性の三本柱を包含する、世界中で認知された認証制度の基盤であり続けています。持続可能な農業基準にはすでに、アグロフォレストリー、気候変動に対応した農業、水資源の保全など、多くの基礎的な再生農業の実践が含まれています。
では、違いは何なのでしょう?
インフォレスト・アライアンスの再生農業基準は、自然に焦点を当てた以下の3つの影響分野に、より踏み込んだものとなっています。
- 土壌の健全性と肥沃度
- 生物多様性
- 気候変動に対する回復力
この農業基準は、再生農業の成果の推進を目指す方々に、一つ深いレベルでの取り組みをもたらします。
実行のための2つの選択肢
レインフォレスト・アライアンスの再生農業基準は、以下の2つの形式でご利用いただけます。
- 持続可能な農業基準への任意の追加基準として
既存の農場認証保有者は、17の追加的要件を満たすことで、上記3つの重点分野での成果を強化することを選択できます。これらは、すでに持続可能な農業基準に含まれる147の要件を基盤として構築されています。
- 独立した基準として
この形式は、17の再生型要件と、持続可能な農業基準から人権や農家の生計に関して絞り込まれた102の基礎的要件を組み合わせて使用します。これらの要件は、気候変動への耐性、土壌の健全性と肥沃度、生物多様性、水資源管理、農家所得という5つの主要分野において、測定可能な成果をもたらすよう設計されています。この堅牢な独立型の形式は、再生農業に特化しようとする企業に理想的です。
私たちのデータに裏付けられた実践が、どのように測定可能な成果につながっているか、こちらからご覧ください。
再生農業への旅を始めませんか?
再生農業基準が公開された今、農家や企業の皆様には、その要件をご確認のうえ、導入に向けた準備を始めていただくことをお勧めいたします。あなたが再生農業の取り組みを始めたばかりであっても、現在拡大中であっても、レインフォレスト・アライアンスが一歩一歩サポートします。共に、グローバルな移行を推進していきましょう。
詳細は担当アカウントマネージャーまでお問い合わせいただくか、再生農業認証ページをご覧の上、お申し込みください。


