農場から小売店まで、レインフォレスト・アライアンスがEUDRの遵守を支援する方法

コーヒーとカカオの認証パートナーについては、2024年1月15日までにRACPを準備するよう取り組んでいます。その日以降、生産者はRACP上でEUDRの要件に沿った特定の基準を選択し、位置情報データをアップロードすることができるようになります。企業は、農場サプライヤーベースと積極的に関わり、データの収集と提出が予定通り行われるよう、農場認証保有者に要請することが推奨されます。レインフォレスト・アライアンスは、この目的のために現地でのサポートも提供します。 

企業は、サプライチェーン全体を通じてEUDRを実施する法的責任を負います。また、「レインフォレスト・アライアンス2020持続可能な農業基準」の要件とEUDRの要件には多くの類似点がありますが、両者にはわずかながらも重要な違いがあります。そのため、レインフォレスト・アライアンス認証のカカオやコーヒーが、自動的にEUDRに準拠しているとはみなされません。しかし、レインフォレスト・アライアンスの認証プログラムには、遵守に必要な追加情報を企業に提供できるツールが多数用意されています（認証を受けたサプライチェーンパートナーには追加費用はかかりません）。

レインフォレスト・アライアンスは、2024年1月以降にEUDR基準を自己選択することで何が想定されるかについて、農場認証保有者と対話し、的を絞った研修を実施します。また、アソシエイトトレーナーネットワーク（ATN）や認証機関と協力して、農場認証保有者が自己選択した基準を実施および審査できるよう支援します。  

レインフォレスト・アライアンス2020持続可能な農業基準（付属文書第6章：環境を参照）では、現在2つの特定ケースにおいて、土地の農業利用への「小規模な転換」を認めています。 

1. 2014年1月1日以降に発生した小規模な転換。これは農場の総面積（生産者団体の場合は生産者団体全体の総面積）の1％または10ヘクタールのいずれか小さい方に限定されます。このような場合、農場認証保有者は修復/補償計画を実施しなければなりません。  
2. 農場または加工過程に不可欠なインフラのための計画的な小規模転換。これは認証地総面積の1％までに制限され、レインフォレスト・アライアンスの事前承認が必要です。  

ただし、2024年1月15日以降、RACP上でEUDR基準を選択した農場認証保有者は、2020年12月31日以降に転換が行われた場合、上記で認められている小規模な転換を利用できなくなります。 

これらのトレーサビリティレベルで調達可能なレインフォレスト・アライアンス認証カカオの数量は、各企業のサプライヤーによって異なるため、各企業はできるだけ早く農場サプライヤーと話し合い、同一性保時または混合同一性保持システムを導入可能かどうかを把握することをお勧めします。レインフォレスト・アライアンスの認証カカオはすべて、農場認証保有者から同一性保持製品として購入され、その後、サプライチェーンの各関係者がそのカカオの販売方法を決定します。   

レインフォレスト・アライアンス認証プログラムは、衛星データを使ったマッピング技術と現地ベースの第三者審査を組み合わせて、森林破壊のリスクと事例を評価しています。 
 
農場認証保有者は認証登録の過程で位置情報データを提供し、それが森林破壊リスク評価のインプットとして使用されます。この審査結果は、農場認証保有者と審査を行う認証機関とで共有されます。農場生産者団体を審査する場合、審査員は森林破壊リスク査定に基づき、訪問する農場メンバーのサンプルを作成しなければなりません。その後、審査員が（「高リスク」と認定された農場を含む）農場を訪問し、2014年1月1日以降の森林破壊の事例を確認します。この過程や、森林破壊のないサプライチェーンを促進するためのツールについては、こちらをご覧ください。   

レインフォレスト・アライアンスでは、ペルー、ブラジル、ガーナ、コートジボワール、インドネシアについて独自の森林レイヤーのデータセットを保有しており、その他の国についてはコペルニクス（大気監視サービス）の森林レイヤーを使用して、「Global Forest Watch（世界森林ウォッチ）」の樹木被覆損失マップと照合しています。

すべての農場認証保有者は、認証手順において森林破壊リスク査定を使用することが義務付けられています。  

レインフォレスト・アライアンスの認証手順において、位置情報データを収集し提出するのは農場認証保有者の責任となります。しかし、このデータを収集するための費用を負担するのは、必ずしも生産者だけの責任ではありません。レインフォレスト・アライアンスは、コーヒーやカカオの認証保有者から購入する企業に対し、特にEUDRの遵守がEUで商品を販売する企業やEUから輸出する企業の責任であることを考慮し、この位置情報データの収集を金銭的またはその他の方法で支援することを強く推奨しています。 

レインフォレスト・アライアンスのサプライチェーンパートナーは、認証を通じてこのEUDRの提供を受けることを選択した場合、レインフォレスト・アライアンスから追加料金を請求されることはありません。  

森林破壊と侵入のリスク査定は衛星画像に基づいています。これは、森林破壊および森林破壊リスクの評価を提供するものであり、森林破壊であることまたは森林破壊でないことを明確に証明するものではありません。レインフォレスト・アライアンスの認証カカオについては、保証過程を通じてさらに調査を進めることで、その背景を考慮することができます。レインフォレスト・アライアンスの手順の一環として、農場認証保有者は、リスクの高い農場を認証範囲から除外するか、リスクの高い農場を訪問して、これらの農場で森林破壊が発生していないことを示す必要な証拠を収集する権利を持っています。これは農場生産者団体認証の内部管理の一部です。 
 
レインフォレスト・アライアンスは、ポリゴンマッピングの漸進的な義務付けや、新しい情報の入手に伴うリスク査定に使用する地図の継続的な更新などの改善を通じて、リスク査定結果の改良を続けていきます。また、認証プログラムの保証手段も引き続き改善していきます。こうした改善により、誤判定が減り、認証を取得できない生産者が減ると考えられます。  

企業は、マルチトレースで提供されているものと同様に、サプライチェーンに関するデータにアクセスすることができます。小売業者がこのサービスを利用したい場合は、レインフォレスト・アライアンスのサプライチェーン認証手順を経て、マルチトレースのトレーサビリティに参加する必要があります。 

小売業者はサプライヤーと協力し、サプライチェーン内の農場認証保有者を特定する必要があります。  

EUDRは、適用される森林破壊の法だけでなく、人権法、労働権法、その他の関連法を含む現地の法律に従って製品を生産することを求めています。  

土地の合法的かつ正当な使用権は、レインフォレスト・アライアンス2020持続可能な農業基準の要件に含まれています（第5章：社会、要件5.8.1および5.8.2を参照。）審査員は公文書や法的文書を確認することが義務付けられていますが、多くの国では証拠となる文書がありません。そのため、審査員検証プロトコル（各要件の遵守状況を確認する方法に関する審査員向けの手引き）では、土地をめぐる「争いがないこと」を確認する可能性が示されています。 

レインフォレスト・アライアンス2020持続可能な農業基準で定められているように、すべての農場認証保有者は、持続可能な農業基準の範囲内で適用法および団体交渉協定（CBA）を遵守しなければなりません。適用法または団体交渉協定が持続可能な農業基準の要件よりも厳格な場合は、そのような法律が廃止されない限り、その適用法または団体交渉協定が優先されます。適用法または団体交渉協定が持続可能な農業基準の要件よりも厳格でない場合、その基準要件がそのような法律または団体交渉協定の適用を明示的に認めていない限り、基準の要件が優先されます。（第1章：管理を参照。） 

特定の国でレインフォレスト・アライアンスの審査を実施するすべての認証機関（CB）は、これらの国ごとに適用法の査定を実施し、基準の各要件に対応する適用法を特定しなければなりません。適用法に関する査定は、認証機関が毎年更新し、レインフォレスト・アライアンスに送付されます。認証機関は、審査員がこの適用法の査定を閲覧できるようにして、認証保有者がこれらの法律を遵守していることを検証できるようにしなければなりません。 

自己選択した基準では、農場認証保有者はすべてのカカオとコーヒーの農場区画の位置情報データを収集する必要があり、4ヘクタール以上の区画はポリゴンデータの収集が求められます。すべての位置情報データは、現在レインフォレスト・アライアンス認証で求められている小数点以下4桁ではなく、小数点以下6桁である必要がああります。

このデータはレインフォレスト・アライアンスの認証手順を通じて収集され、認証を取得している生産者団体が所有します。サプライチェーン認証保有者は、このデータをEUDRの目的に限定して使用することに同意します。  

EUDRの自己選択基準に沿った位置情報データが認証手順を通じて提出されると、レインフォレスト・アライアンスがデータの品質をチェックします。その後、自己選択基準は、認証機関が実施する第三者農場認証および監視審査に含まれます。つまり、審査員が農場のサンプルをチェックし、農場認証保有者が提出したデータが完全であることを確認します。  

レインフォレスト・アライアンスは、市場パートナーがEUDRの義務を果たすためのプラットフォームと主要データへのアクセスを提供しています。レインフォレスト・アライアンスがデューデリジェンス（適正評価）報告書を発行することはできません。